天然ガスの基礎知識

天然ガスとは?

天然ガスは、石油や石炭と並ぶ化石燃料の一種です。メタンを主成分とし、エタン、プロパンなどを含みます。天然ガスは国内でも新潟県、秋田県、北海道などで生産されていますが、大部分は海外から輸入されています。現在、日本には産ガス国とのパイプライン網が整備されていないため、LNGの形で輸入されています。

LNGは天然ガスを約-162℃という超低温にして液化したもので、体積は気体の600分の1になるため、大量輸送に適しています。また、超低温のため通常のタンカーではなく専用のLNGタンカーで輸送され、LNG基地の巨大なタンクで貯蔵されます。燃料として使用する際には、気化器を使って気体に戻します。

供給安定性

天然ガスのメリットのひとつに、供給安定性があります。原油の輸入先は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールといった、日本から 遠く政治的に不安定な中東に多くを依存しております。

これに対し天然ガスは、オーストラリア、マレーシアといったアジア 太平洋諸国が多く、カタールなどの中東依存度は比較的低くなっています。 加えて近年は、アメリカからのシェールガスをはじめとする非在来型ガスの生産が増えており、日本の輸入先はさらに分散され供給安定性が高まっています。

環境性

天然ガスは、化石燃料のなかで最も環境性に優れています。二酸化炭素の排出量は、石炭を燃やしたときを100とすると、石油80、天然ガス60となり、同様に窒素酸化物は、石油70、天然ガス20?40となり、また硫黄酸化物は、石油70、天然ガスはほぼゼロです。

そのため、工場の燃料を石炭や石油から天然ガスに転換するだけで硫黄酸化物等の大気汚染物質を大幅に減らすことができます。

石炭を100とした場合の燃焼時の排ガスに含まれる大気汚染物質の割合

安全性

天然ガスの主成分のメタンは、空気より軽いのですぐ上方へ拡散する性質があります。漏えいした際には、空気より重いLPGのように下に滞留しないため、ガス中毒や爆発の危険性が低く、安全性に優れています。

物理的・科学的性質

一般的に、気体の天然ガスは、体積の単位「m³(立方メートル)」で表し、液体であるLNGは重さの単位「t(トン)」や体積の単位「kl(キロリットル)」で表します。

天然ガス(気体)、液化天然ガス(LNG)、
石油系燃料の比較